たゆたえども沈まず


私にとって異色に思える自分たちの存在を、久喜は高校を辞めてから、高校を辞める前からずっと感じていたのかもしれない。

溶け込めない空気。
引かれる一線。

「やっぱり和食にしとけば良かった」

両利きの久喜は器用に左手で持ったフォークでトマトを刺した。

今できるのは、久喜が一人にならないようにこうやって隣にいることくらい。

「友達だって思ってたの?」

昨日の女のひと、と付け加える。
傷口を抉ったかな、と心配だったけれど、久喜は普通に答えた。

「仲良くはしてた方だった」

「どうしてお金盗られたの?」