たゆたえども沈まず


固まった私の前で久喜が手を振る。

「……久喜、昨日誰と飲みに行ってたの」

いろんな気持ちを押し殺して聞いてみた。
水を全部飲み干した久喜が目を瞑って、思い出すような動作をする。

「友達?」

「なんで疑問形なの。どうしてお金盗られたのに友達って表現するの」

「温、なに怒ってんの?」

「怒ってないけど」

けど、久喜はそういうことに対して鈍いと思うことが多い。

「……お腹空いた」

眠ったら、されたことなんて忘れてしまうのか。久喜は私の言葉を聞くと「ファミレス行こう」と提案した。