たゆたえども沈まず


数少ない食器の中からガラスコップを手にとって乾いているシンクを見てから、冷蔵庫を開いた。

ミネラルウォーターやお酒類、炭酸水、昨日私が買った肉まんとあんまん。

思った通りの中身にため息を漏らして、ミネラルウォーターを注いだ。

「ありがと」

後ろからそのコップが奪われる。いつの間に。

来るなら足音くらい立てれば良いのに。
冷蔵庫を静かに閉めた。

「温、温」

呼ばれたので振り向く。

すぐ近くに久喜の顔があって、短く唇が重なった。

「ごちそうさま」

なんて男だろう、と思った。