誰かが私の手をつかんで引っ張ってくれる。
さっきの男の子だ。

わたしはそれにつられて、なんとか電車から降りることができた。




「あのっ‥ありがとうございました。」


「ううん。電車、慣れてないの?」

「はい‥電車通学始めてで‥」


「そっか。じゃあ、俺、友達と待ち合わせしてるから‥」

「ほんとにありがとうございました」
わたしは思わず頭を下げた。

それを見て彼はクスリと笑い、歩いて行ってしまった。