偽物でも公認で、私は藤宮光の彼女だったから。
彼女…だったから。
「…うっうぅ」
やっぱり、恋も愛も知らない方がよかった。
恋しい人も愛しい人も大切な人も離れたくない人も
いつだって私から離れていくから
『私たちね、千晶の顔を見ると辛いの』
あの人の言葉を思い出す
あのとき、私は起きていた
呆然とする翔太の隣で息を殺して寝たふりをしていた。
私はママとパパの顔を見ると幸せな気分になれて…
それなのに、あの人たちは私を見ると辛いっていった
あの時、私はたぶん翔太が好きだったのに
あの日以来翔太は私といると時々悲しそうに笑って
いつも側にいてくれたけど、それを素直に喜べなくなっていった
そして決めたの
私は恋愛すべきじゃない
私は誰も幸せにできない
私は恋愛をしないと告げたとき、慎ちゃんは少し悲しそうな顔をしていたけどすぐに、笑った
これでいいと思ってた
私が誰かを好きにならなくても、誰も不幸になんてならない
そう、気付いたから