俺は丹田千晶が好きで、大好きで




愛してるって言える自信がある




でも、このままだとその言葉も伝えないまま俺はずっと側にいるんだろう




この偽物の中にいることになれて、いつしか本物の中にいるように錯覚して。




偽物の中で丹田千晶を手に入れた気になって、丹田千晶も俺のものになった気になって過ごしていくんだろう




…でも、たぶん丹田千晶はどこかで気付くんだ





あぁ、私たちは所詮偽物だったんだ




数えられないほど口にしてきた愛の言葉も、愛してるってこの気持ちだって偽物よ




だって偽物から生まれたんだもん




本物から偽物は生まれても、偽物から本物は生まれないでしょう?




そう言って美しく微笑んで俺の手を離して




本物を与えてくれる人のところへ行くんだ





好きだよ、愛してるよってなんの偽りもなく言える人に。






全ては俺の被害妄想に過ぎなくて、でも被害妄想にしてはリアルすぎる




まるで、あぁこれは正夢になるかもしれないと思う夢を見たような、不確かででも無視はできない。なぜか未来を予知してしまった恐怖がある。




…そんな感じ。