「千晶は誰が見ても恋していたよ。…初めて、誰かを愛していたよ。本人に自覚があるかはわからないけど、な」
ぬるくなったコーヒーをぐいっと飲み干して、眠る丹田千晶の側にいく翔太先輩
「…だから俺調子乗ってたんだ。もう千晶に恋愛の話をしても大丈夫だろうって。…ごめんな、千晶。俺がそんなことしちゃダメなのにな…」
丹田千晶が聞いていることを前提にしたような話し方をする
その二人はもうほとんど大人なのに、なぜかすごく幼く感じて…すごく寂しそうに感じて…
涙が出そうになった
「…誰も、悪くないと思います。」
少し震える声で無意識にでた言葉に、翔太先輩は俺を見る
「翔太先輩はなにも悪くないです。千晶先輩もなにも悪くないです。すごく辛かっただろうし寂しかっただろうって思いました。想像して考えることしかできないけど、そう思いました。でも千晶先輩が恋してる、愛してるように翔太先輩の目に写るなら、それは俺のおかげなんかじゃなくって」
何をはなしているんだ
冷静になり、だんだんと声が小さくなっていく
「…それは俺のおかげなんかじゃなくって、ずっと支えてきた翔太先輩のおかげです。…千晶先輩を支えてきてくれてありがとうございます。」
そう言って頭を下げた俺を見た翔太先輩は、少し楽しそうに笑った
「お前、本当に千晶が好きなんだな」
って。
…俺は丹田千晶が好きなんだろうか
ゲームから始まり近づいたのに、おかしくないか?
…すやすやと眠る丹田千晶を見るとそんな迷いもぶっ飛んだ
俺は丹田千晶が好きなんだ。
「へへへ。大好きっすね。」
美しくて強くて、でも儚い
そんな丹田千晶の全てを受け止めたいと思った

