「光」
そして慎先輩は丹田千晶から手を離して、俺の頭の上においた。
「こんなことされて彼氏としてはいい気持ちがしないと思うけど…許しくれるよな?」
「…え?」
言葉と顔が合わないほどの満面の笑みで
「だって光は千晶の彼氏でいられるんだから…ちょっとくらい千晶を知りたいって思ってる俺を許してくれたっていいだろ?みんなの、千晶を手にいれたんだからさ」
寒気がするほどの笑顔で俺の頭をわしゃわしゃと撫でて、それからまた丹田千晶の頬に触れていた
…俺の中で渦巻いている酷い独占力を必死に押さえ込む
丹田千晶に触れるな、俺のだ、離せ
そう叫ぶ俺のなかの俺を何かに入れて蓋をした。
だって、俺は慎先輩から丹田千晶を奪ったんだから。
慎先輩の可能性を奪ったんだから。
ここで我慢しなきゃいつするんだ。
隣で翔太先輩が悲しそうに慎先輩を見ていた

