「…先輩生きてます?あれ?もう逝っちゃいました?それともボケました?」
憎たらしいほど綺麗な声で私は現実へと引き戻される。
ほんっとに憎たらしいほど綺麗な声。
少しだけ低くて、ほんの少しだけハスキー。
その声がこの美少年から発せられるわけですから、キュンっとしたりドキドキしたりするのが普通だと思います。
…しかし私の場合は馬鹿にされてますからね
いっそのこと声が枯れてガラガラになればいいのにって思うこともしばしば。
「光~、あんま千晶のことからかうなよ?態度と違って傷つきやすいから」
そんな風に私が嫌な女になりかけていると、いつも助けてくれるのが慎ちゃん。
「んー。慎先輩が言うならできるだけ気を付けます」
「はい、よろしい。ところで卵焼きもらってもいい?」
慎ちゃんは変態だし適当だし卵愛してるし、ほんと変な人だと思う。
…でも、いつも私を助けてくれる優しい人。
藤宮光の嫌がらせが止まったことはないけど、気持ちだけで十分嬉しい。

