「あ、てかさ、俺が恋してるって気付くとかお前エスパーなわけ?」
へらへらしたように話し出した翔太に無意識に答える。
「だって私も経験ある…し?」
そこまで言ってはっとする。
経験ある?
みんなでいたところから二人になって
ドキドキして緊張して
すぐ治ると思ったのに治らなくて
それどころか悪化して
誰かを想うところを想像すると…うん、嫌。
「そりゃそーか!千晶は光とつきあってるんだもんなー!」
翔太の声が頭に残る。
私、翔太の気持ち経験したことある。
今、経験してる。
「私、藤宮光が好きなんだ…」
ぽろっと出た言葉に翔太はヒューヒューだなんてふざけているけど
心の奥にあった気持ちが目覚めた瞬間
まるで体に媚薬が回ったようにふわふわとして
「千晶!?」
私は恋の媚薬にハマってしまった
藤宮光という名の媚薬に…
「千晶!!!!おい!!!!千晶!!!!!」