「…千晶?」
ぼーっとしている私に慎ちゃんが声をかけた。
「…あ、大丈夫。ごめんごめん」
頭の中にあった考えを全部消して慎ちゃんと向き合うと、慎ちゃんは少し微笑んで私の頭をポンポンとした
「おー、千晶。久しぶり」
そこに遅刻ギリギリの翔太も加わって
「あれ?なんか千晶太った?」
「残念。胸に肉つけばよかったのに。」
「う、うるさい!!!翔太デリカシー無さすぎ!!慎ちゃん変態すぎ!!!!!」
「あんたらちょっとうるさい」
「千晶ちゃん元気になってよかったね」
夏休み前までの私たちの日常。
これが当たり前だったのに…
何かが物足りない。
この気持ちの正体に気づき始めている私は、みんなが騒ぐ声に紛れて変な心臓の音を隠した。

