「…ふぅ。」 藤宮光が出ていったドアをぼーっと見つめる。 どの、藤宮光が本物なんだろう この間までの最悪な藤宮光? それとも今日みたいな優しい藤宮光? 「…わかんないよ」 意地悪かと思ったら優しかったり、優しいかと思ったら意地悪だったり。 頭を撫でたり、ぐちゃぐちゃにしたり。 心配したり、からかったり。 私のなかに二人の藤宮光がいて… 「…んんー」 頭の中がぐちゃぐちゃで、唸っていると ピーンポーン インターホンが鳴り響いた。