意地悪な君の恋の仕方






暗くなる前に藤宮光起こさなきゃな~




そう思いながら冷蔵庫に手をかけると




「…え?」



いつもは必要最低限のものしか入ってない寂しい冷蔵庫に、たくさんのヨーグルトやらフルーツやらゼリーやらが入っていた。




「…なにこれ…」




もしかして、藤宮光…?



いや、でもあいつが私のためにお金つかうとかありえる?




…いや、ありえない。



でも、じゃあこの冷蔵庫の中身は?



やっぱり…




「藤宮光…?」



「なんすか?」





いつもよりかすれている声に肩が跳ねた。




「…くっぷぷ。驚きすぎっすよ」





私の反応が面白かったのか藤宮光は笑いを堪えている。



「あ、あんたねー!」




その顔を見るとついついいつもの喧嘩腰になってしまう。



それで言い合いが始まるはずだったのに…





「…反発できるくらい元気になってくれてよかったですね」




藤宮光がそう言って目を細めるから何も言えなくなってしまった。





「あ、なんかコンビニで色々買ってきたんですけど、食べます?」




藤宮光は冷蔵庫からゼリーを取り出して差し出した。




…やっぱり藤宮光が買ってきてくれたんだ




少し嬉しいなんて思った自分がむず痒くて、恥ずかしくて、ちらっとだけ藤宮光を見ると




「ん?いらないんすか?」




意地悪そうに微笑んでいた




「…い、いらない」






その顔を見るとついつい反発してしまうのが私で



本当は食べたかったのに、口を尖らせてそう言ってしまった