「千晶先輩~、起きてください」
「ん~」
軽く肩を揺するとゆっくりと目を開けた丹田千晶
「…え?ふ、じみやひかり?」
まだ熱のせいで目は潤んでいるものの俺のことをしっかりと分かっているらしい
「大丈夫っすか?お粥作ったんで少しでもいいから食べてください」
「え!?い、いい…」
「だめっすよ。薬飲めないじゃないですか」
「…でも、お腹空いてないし…」
「…一口でもいいんで頑張ってください」
何度かこんなやり取りをしたあとで、丹田千晶はようやく食べる気になったらしい。
「…食わないんすか?」
さっき食べるって言ったばかりなのになぜかぼーっとお粥を眺めている。
「…食べるけど」
食べるけど?
そこで俺は丹田千晶の視線の先にあるものに気がついた
お粥を見てたんじゃなくてスプーンを見てたんだ
もしかして、手に力が入らなくて動かせないのか?
…絶対そうだ。
丹田千晶はどうしようか困っているように眉を下げていた
…ほんと、素直じゃない人
でも、そーゆーところにS心がくすぐられるっつーかなんつーか
俺は1つため息をつくと丹田千晶と目をあわせた

