藤宮光の存在を知ったのは一週間程前。



翔太と慎ちゃんはバスケ部で、初めてスタメンとったから練習試合を見にこいって言われてみんなで見に行った土曜日の体育館のこと。




「わー!結構人すごいんだね!!」



「一応うちのバスケ部イケメン揃いって有名だからな」



「翔ちゃんも慎ちゃんも大丈夫かな…」




はしゃぐ私と、分析する美沙ちゃんと、心配する菜々子ちゃん。



端から見るとなんだか随分とおかしかったみたいで




「ふっ」




隣から聞こえてきた笑い声に顔をあげた。




「あ、すいません」




そこにいたのはすごく綺麗な顔をした男子。



思わず息を飲んでしまうほど、綺麗な。




「…あの?」




怪訝そうにそう言われた私はびっくりしたせいでどうでもいいことをベラベラと話し出した。



「いや!あの!すごく綺麗な顔だなーって思いましてですね!!!いやー、ほんと羨ましくて!!!私より何千倍もかわいいなみたいな!!」



そんな感じのことをひとしきり話したあと、はっとして相手の顔を見ると…




「自分がブスだからってひがまないでくれる?千晶先輩」




そこにいたのは眉間にふかーいふかーいシワを寄せた美少年だった。





「うおーい!光!!こっちこいよ!!!」


「うっす」




呆然としている私の前を通りすぎて選手に一番近いところまでいく。




遠くから見て気付いたけど、彼は手首に包帯を巻いていた。





これが、捻挫だった藤宮光と私の出会い。