「開けるぞ……」
シンとした廊下に響いた低い慎ちゃんの声
私はゆっくりと頷いた
このドアは私をどこへつれていくのだろう
天国か、地獄か。
2つに1つだけど、なんだか天国な気がするの
なんでって聞かれたらはっきりとは言えないけど、きっと心のどこかであの人たちをずっと信じてきたからだと思う
結局のところ、私にとっては唯一無二の二人なのだから
そんなことを考えていると完全に開かれたドア
微かに、テレビの音が聞こえた
最上階の部屋なんて来たことがないからこのホテルが特別広いのかどうかなんて分からないけど
とても広い。
通常の階の部屋の何倍あるんだろう
そう考えても答えがでないほど、広い部屋だった
「おじさん、おばさん…」
わたしの前を進んでいた慎ちゃんが進むのをやめ、そう言った
顔は左を向いている
私は右ばかりみていた。

