「私はここで待機となりますので。ロビーでこのキーを見せていただくと通してくれると思います」
そう言って手渡された金色のカード
このカードがあの人たちの元へと続くと思うとなんだか無償に重く感じて。
「……はい」
ああ、あと一時間後には知らなかった事実なんかを知らされてるんだなと思うと知りたいような、知りたくないような。
何も変わりたくなくて立ち止まってしまいたい衝動にかられるけど
そのままじゃだめなんだと、頭に浮かぶ藤宮光が言っているように感じて
止まるな、止まるなと言い聞かせながらロビーまで、そしてそのあとはあの人たちがいるという最上階まで足を進めた

