タクシーをつかまえて、急いで中央病院へと向かう
受付で用件を伝えると、可哀想なものを見る顔で見られた
無機質に感じられる廊下に、すれ違う具合の悪そうな人、怪我をしている人、元気なのに点滴をもって動いてる人
全てが、さっきの電話をリアルにしていくようで嫌だった
『丹田晶様 丹田千夏様』
そう書かれたドアを、そっと開ける
見るのが怖くてうつむいた
だってこの先には、冷たくなった動かない二人がいるんでしょう?
そんなの嫌だ
あんなに憎んでたのに、大嫌いだったのに
死んじゃえばいいのにって思った日もあったのに
それが現実になると怖くて怖くて仕方がない
無くそうとして必死に抑えこんでた感情が顔を出す
大好き。愛してる。
認めたくなかったけど、あんなに憎んでたのも愛してるの上になりたっていた
あなたたちだってそうでしょ?
私のことを受け入れられなくて、気嫌いして、置いていったって思っていたけど
違うでしょ?
だって、私の名前には二人の名前がとられてた。
ちゃんと、私は愛されてた

