丹田、千晶。



俺も、好きだ




「あ?」




痛む頭の中で俺じゃない俺がそう言う




何やってんだよ俺



早く俺を受け入れろよ



いつまで俺のこと忘れてんだよ




「なんなんだよ…誰なんだよ…」






俺は、お前だよ。藤宮光。





「いっっっ!!!!!」






俺は丹田千晶が好きで



慎先輩に獲られそうで怖くて




向き合ってたんじゃないのかよ





なにちょっと落ちた位で、丹田千晶のこと忘れてんだよ



翔太先輩のことだって大切だっただろ?




今、俺の大事な人たちを悲しませてんのもう嫌なんだよ





「たん、だちあき…しん、せんぱい、しょうた…せんぱい」





いっきに大量の記憶が、まるで映画でも見ているかのように映し出される





俺は、あんなに好きだったじゃねぇかよ




無意識に側に置いときたくて、嘘でもつきあっちまう程に





「思い、だした……」





なんで話せるうちに思い出さなかったんだよ





もう一度丹田千晶に電話をかけても、繋がらなかった