『そうそう、慎先輩。だから、なんだろ。あー、もう結局私はあんたにこんなこと言って何がしたいんだろう』
「それは、俺にはわかんねぇけど…」
そう言うと、そんなこと知ってるからと冷たく言われてしまった
『まぁ、とにかく。あんたは私が帰るまで記憶戻しておいてよ。うん。そう。とにかく私を思い出しといてよ』
「うわー、それ一番きついんですけど…」
『はあ?ほんと思い出してよ!じゃないと私あんたに言いたいこと言えないから!』
「なにそれ?今言っちゃえばいーじゃん。一生言えないより、それがいいだろ」
うーん、と悩む声が聞こえる
『そう、ね。んじゃ一回しか言わないから』
「ん?」
何を言われるのか、ドキドキする
冷静を装っているが、全然冷静じゃない
『好きなの』
「……は?」
『もう言わないから。早く記憶戻して、そしたら返事ちょうだい。偽物、じゃなくて、本物、になりたい。……じゃーね!!!!!』
綺麗な声からプープープー、という無機質な音に変わる
好きなの
それが頭でグルグル回って……
「頭いってぇ……くそっ、ふっふふっ」
痛がりながら笑う俺って相当な変人だ

