『私のこと覚えてなくてもその口のききかたなんだね』
ふふふと笑う声が聞こえる
…たしかに、なんて口のききかたしてんだよ俺
「すいません…」
とりあえず謝るけど、何か違和感を感じる
心の奥深くで、何かが違うと感じている
『謝るなんて、あんたらしくない』
今度は笑い声は聞こえない
『なんなの?あんな風に抱き締めたりして。前みたいに話したりして。思い出した?って期待させといて謝って、私にショックを与える。なに?得意の意地悪?』
「……抱き締める?」
俺が、丹田千晶を?
『それすらも覚えてないんだっけ…。急に、後ろから抱き締めてきたんだよ、あんたが。』
「はあ!?」
俺が!?
そんなことするか!?
『ほんと、こっちがどんだけびっくりしたか…』

