「置いていかないでよ…」
立ち上がろうと、後ろについていた腕に力を入れたところで聞こえた声に、体が動かなくなる
「私のこと嫌いでも、置いてかないでよ。私が悪いなら、私がいなくなるよ…」
あぁ、また頭がガンガンしてきた
「一度も素直になれなかったけど、好きだったよ」
ボーッとして、視界が霞んでくる
「好きだったの」
この、綺麗な声って
もしかして…?
「好きだよ、藤宮光…」
ああ、だめだ。
頭が痛くて正常じゃない
自分で自分を止められない
理性がぶっこわれて、何も考えられねぇ
「きゃっ…!」
すぐ下で、綺麗で可愛い声がした
そこからはあまり記憶になくて
目が覚めたら、抜け出したはずの病室にいた

