いなくても、いい…?
なんでだよ…
「どうしてー?」
「なんでなのー?」
まるで俺の思っていることが伝わっているように、双子が女の人に問う
「んー、簡単に言うとね、お姉ちゃんがいたせいで、お姉ちゃんのママとパパはどこかに行っちゃったしね、お姉ちゃんのお友だちも苦しくなってどこか行っちゃった。お姉ちゃんの大好きな人も…今、とっても苦しんでるの。難しいかな?」
双子は同時に首をかしげた
女の人はふふっと笑うと、二人の頭を撫でた
「分からなくていいの。でも、これだけは覚えていて?あなたたちは一人で生きてるわけじゃないからね。周りの人たちと生きてるの。今は分からなくても、いつかは必ず分かるよ」
俺でも、意味がよくわからない
当たり前のこと過ぎて…全然わかんねぇ!
それは双子も同じだったらしく、難しい顔をしていた
「おねえちゃ」
女の子の方がそこまで声に出したとき、遠くからかすかに女性の声が聞こえた
「ママだ!!!!!!」
男の子の方が嬉しそうにそう言った
「ほら、行きなよ。ママが待ってる。」
女の人にぽんっと背中を押された双子は、にこっと笑って駆けていく
急に静かになったことに、話に混ざっていなかった俺でさえ寂しくなる
残された人間はいつだって辛いよな
その静けさに気がつくのもいつも残された人だ
「はぁ、探しにいくかな」
ここを離れたくない…いや、一人ベンチに座るあの人を放ってはおけない
そうは思うものの、丹田千晶をみつけることが最優先だ
俺も一応逃げてる身だしな