「はぁ、はぁ」
「光くん!光くーん!!!!」
すぐ側で俺を呼ぶ声がする
乱れた呼吸を整えながら、息を殺す
しばらくすると俺を探していた人たちはどこかへ行った
「はぁ…」
ほっと胸を撫で下ろしながら、地面に座り込む
今俺がいるのは病院裏の公園……の、植木の陰
大人ってしぶといな
逃げても逃げても追いかけてきて
でも、こんなところに隠れててもみつからないなんて、かくれんぼはまだ高校生の方がうまいかな
へへっ、と笑いそうになって、口を押さえる
またくるかもしんねえしな…
なんでこんなことしてるのか、自分でも本当にわかんない
ただ、丹田千晶が行方不明って聞いて…
あれ、俺千晶ちゃんのことフルネームで呼んでたんだっけ?
……記憶にないな。
でも、こっちの方がしっくりくる
「丹田千晶…ね」
そう呟くと、ズキズキと頭が痛み始めた
「…くそ、思い出させろよ」
よくわかんねぇけど、思い出したいんだ
なんだかすっごい大事な人だった気がするから