「光くんゼリー好きなの?」
俺はゼリーが好きなのか?
頭の痛みが増していく
『ふ、じみやひかり…』
あの夢の中の声がする
俺はまた眠っているのか?
また、夢なのか?
「光くん!大丈夫!?」
慌てた菜々子先輩の声がする。
これは、現実だ。
『食べさせて?』
じゃあ、この声は何なんだよ…
誰の声なんだよっ…!!!
「はぁ、はぁ…」
「今!先生呼ぶから!!!!」
大丈夫です。
そう言ってさっきみたいに引き留めたいのに、体が動かない。頭が痛い。
『帰らないで…』
そう言って触れてきた手は熱くて
そして不謹慎なことに俺は、熱で顔が赤くて涙目の顔を可愛いなんて思ったんだ
頼られることなんか、嫌いで
それが女なんて絶対にごめんだって思ってたのに
「はぁっ、はぁっ、はぁ…」
段々と頭の痛みが増していく
それなのに不思議と、辛くはない
この痛みが丹田千晶に近づいている証な気がして…
「光くんっ!!!!しっかりして!」
「うまく呼吸できていない!!!酸素を!!!!」
周りは先生の声やら看護師さんの声やら、何かを運んでくる音やらで騒がしくて
でも、そんなことはどうだっていい。
「た、んだちあ、き?」
丹田千晶って誰だよ
知ってんだろ?俺。

