「はぁ、はぁ、はぁ……」
俺の呼吸は乱れていて、寒いのに汗がすごい
「だ、大丈夫?あ、先生呼ばなきゃ!」
スーパーの袋を持ち、買い物帰りらしい菜々子先輩の手を掴む
その先にはナースコールがあった
「だ、大丈夫です…から…」
安心させるために微笑んでみせる
菜々子先輩は少し不安そうに頷く
「はぁ、はぁ」
なんだったんだあの夢
よく分からないけど、なんだか幸せな気分になる空間だった
でもあの声の人は泣いてたんだよな…
綺麗な声だった
「…っつ」
これ以上あの夢を思い出そうとすると頭が痛む
頭が、思い出すことを拒んでる
でも、心はあの夢を求めていて
ただただ、頭が痛い
「はぁ、はぁ、はぁ…」
もしかして俺、すっごい大切なこと忘れてる?
「大丈夫…?あ、りんご買ってきたんだよ~、今剥くから!食べたら元気でるかも!」
毎日当たり前にここにいる菜々子先輩
先輩は慎先輩と美沙先輩の友達で、俺はこの人たちと仲がよくて…
誰か、足りない気がする……