「しょ、うた…」
涙で歪む視界で、翔太をみる
「…っく、みるな…」
はっきりとは見えなかったけど、翔太の震える声から表情が想像できた
ねえ、どうして…どうしてみんなで幸せになれないの?
どこで、間違ってしまったの?
何で、藤宮光は記憶をなくさなきゃいけなかったの?
どうして、慎ちゃんは離れなきゃいけなかったの?
分からない
……ううん、本当は分かってる
私が、全部悪いんでしょう?
私が、悪いからあの人たちはでていったの
私が、悪いから翔太も傷つけたの
私が、悪いから慎ちゃんは歪んじゃったの
私が、悪いから藤宮光は記憶を失ったの
私が、悪いから慎ちゃんは離れていったの
私が、悪いからみんなが泣いてるの
私が、悪いから………
慎ちゃん、帰ってきて
いなくならなきゃいけないのは、私だよ
「ちょ、わり…トイレ」
バタンとトイレのドアが閉まった音がして、私はゆっくりと立ち上がった

