「うーわー、菜々子と話したかった~~」
病院を出るなり頭をかかえた翔太
……ノロケかよ。
「そんなに話したいなら今日中に解決しよ。翔太、慎ちゃんに電話して」
私の言葉に少し顔をこわばらせた翔太は静かに慎ちゃんに電話をかけ始めた。
「…あ、もしもし?慎?…ん、ん…今病院出たところ。でさ、今から会わねえ?……おう、分かった。んじゃ、また。」
電話を切ると長いため息をひとつして
「30分後、千晶んち。」
どうしてうちなの?
なんて言わせない真剣な表情
私は小さく頷いてタクシーに乗り込んだ
「……翔太」
「……ん?」
緊張してるの?
顔、怖いよ?
「……翔太~」
「なんだよ?」
「私財布持ってない」
「あーはいはい。…っては!?」
ごめんね翔太
五千円の出費は辛いと思うけど
緊張は消えたでしょ?