「菜々子ちゃん…」




病室のドアの隙間から小さな声で菜々子ちゃんを呼ぶ




「千晶ちゃん!!!」



せっかく小さな声で呼んだのに、普通に大きな声で反応した菜々子ちゃんを見て翔太と苦笑した




「…光は?」



翔太がそう聞くと、寝てるよと言ってこっちに近付いてくる





「菜々子ちゃん…その荷物もってきてくれる?」




ベットの側にある机の上のバックを指差して見せた




菜々子ちゃんはススッと数歩下がってそっとバックを取ると、パタパタとこっちに向かってきた




「ありがとう…」




私がそう言うと、ニコッと笑う菜々子ちゃんは本当に天使みたいで




「こんなにいい子が翔太の彼女なんて…もったいないわ~」




思わず本音がこぼれた。




「なんだと!!!!」




つい、いつものノリで翔太をからかって



つい、いつものように翔太は大声で反発した




「…ん」





そして聞こえてきた色っぽい声




その声から藤宮光が起きたことが察せられて




「菜々子ちゃん!また連絡するね!!」





一方的に別れをつげて、翔太の腕を引っ張って病室を出ることとなった