その後、これからの検査や入院についての話…つまりは大人の話をするということで私と翔太は診察室をあとにした。
「なあ、俺らこれから光とどう接すればいいわけ?」
藤宮光の病室に荷物があるから帰るに帰れず、とりあえず落ち着こうと自販でアップルジュースを買った。
「…買いなよ」
自販機にもたれ掛かってうつむく翔太にお金を手渡す
翔太は私の声なんて聞こえていないかのように、ただぼーっと一点を見つめていた
私は出そうになるため息をこらえて、翔太が昔から好きな炭酸ジュースを買った。
「…なんで、俺らなの?……なんで、俺らじゃなきゃダメなんだよ」
聞こえるか聞こえないかのか細い声が、冷たく長い廊下に消えていった
「なんで…光じゃなきゃだめだったんだ?なんで千晶なんだ?なんで俺なんだ?……答え知ってんの、誰だよ。」
本当はその人が誰か分かってるくせに。
なにか怖いことが起こっているのがなんとなく分かっているから、その名前を出せない。
翔太も………私も…。

