「菜々子先輩…?」
不思議そうに菜々子ちゃんを見る藤宮光
その目には一度も私を映してくれない
「光くん…二人は…」
「どうされましたか~?…って、先生!!藤宮さんが目覚めてます!!!!」
震える声で菜々子ちゃんが話そうとしたとき
私たちの声が聞こえたのか看護婦さんがやってきて、藤宮光を見るとすぐに先生をよびにいった
「…あんた、さっきナースコール押してなかったっけ?ちゃんと押されてなかったみたいだな。」
そう、私はナースコールを押した
でも、あのときは驚いて嬉しくて手に力も入らなかったから…
「まぁ、知らねえやつになんもされてなくてよかったか」
知らねえやつ
そう、私は藤宮光にとってただの他人になってしまった…
「光くん、今の言葉…」
ちょうど先生が来て、会話を聞かれてしまったらしい
私たちが友達だということは藤宮光が最初に診察されたときに話してある
先生はなにかを感じ取ったらしく
「目覚めたことだし、退院できるか検査しましょう」
と微笑んで言うと私の肩をぽんぽんと叩いていった

