「あんた、だれ?」





その言葉だけが頭をぐるぐると回っている




頭を包帯でぐるぐる巻かれた藤宮光が、きょとんとした顔で言った言葉





「はぁ、はぁ、はぁ…」




階段を使って下まで走ると、運動不足のせいで足に力が入らなくなりずるずると座り込んだ





でも、ちょうどロビーからは死角になっているらしく誰も私に気付かない




息を整えながら、ぼーっとしていると頭に浮かぶのは藤宮光のこと




…きっと、こんな死角にいたって藤宮光なら見つけ出してくれるんだろうな





そう思った瞬間にあの言葉がまた浮かんできて…




「…っ、うぅ」




涙が溢れてきた