「藤宮、光?」
これは、誰の声だ?
「私、あんたのことが好きだよ。」
誰が俺を好きだって?
「お試しなんかじゃなくて、本気であんたの側にいたい」
だから、誰なんだよ
「どんな意地悪言われても怒らないから…起きてよ…」
訳わかんねえ…でも、なんでこんなにあったかいんだ?
「ねえ…起きてよ…」
ああ、なんだか起きなきゃだめな気がする
「…藤宮光…。光…」
なんだか急に眩しくなって目を開く
「…ん…?」
視界に飛び込んできたのは、俺の手を握りながら泣いている女
「…っ!?藤宮光!!!!ちょ、え、待ってね!今先生呼ぶから!!!」
その女は鼻水を流しながらナースコールを押した
ああ…なんでこんなに頭いてえんだっけ?
「待っててね!コンビニに行ってるみんなに伝えてくる!!!」
俺は病室を飛び出ようとする女の手をつかんだ
「…藤宮、光?」
「…あんた、だれ?俺のなに?」
なんで、俺はあんたを見ると胸が痛くなるわけ?泣きたくなるわけ?触れたくなるわけ?
なんで、そんなに悲しそうな顔をするんだよ…
「…ごめっ」
泣きながら出ていくその後ろ姿を俺はただ見つめていた