「家族、つっても冷めきった家庭でな。親父は外で女作るわ、お袋は寂しさを埋めるためにホスト通い。弟とか妹がいなかったのが不幸中の幸いかな。俺が面倒見なきゃなんないとこだったし。」
小説みたいだ、と思った。
「今こうやって冷静に話してっけど、当時俺は4歳とかそこらへんね?ママ~パパ~って年頃だし、どうしようもない親だなんて現実受けて止めるには小さすぎた」
だって、生まれてからたった4年だぞ?と慎先輩は笑う。
「そんな時にやってきたのが、千晶の両親。あの人たちは千晶のことが嫌いなだけで子供は好きらしくて、よく俺を家に招き入れてくれた」
冷たい言葉を発して丹田千晶を捨てて、翔太先輩を傷つけた人たちの話
俺が持ってた冷たいイメージとは真逆の話についていけなくなる
「俺の前でな、二人は千晶の話すんの。あの子は綺麗すぎてもう手に負えないの。私たちといたら汚しちゃうような、そんな感じ。翔太もね、汚れなんかしらない真っ直ぐな目をしてるんだよ。そう言って俺によく写真を見せてくれてた」
丹田千晶は愛されていた?
そう思ってしまうほどに。

