「慎は千晶を好き、と言うよりはもはや異常と言えるほど千晶に執着していた。」




…丹田千晶が手に入らないことを知っていたからか。




人間は手に入らないものほど欲しくなり、執着する。





「実を言うと、千晶は慎に対する家族愛と言うか、同情と言うか、そういう感情を恋愛だと勘違いしてそのうち二人は付き合うんだろうなと思っていた」




丹田千晶はある意味で慎先輩を愛している



初恋もまだな丹田千晶なら充分あり得る話だ




「でもな、光が来るようになってから二人は大きく変わったよ」




「…え?」





「慎は今までの余裕な顔はどこへやら。毎日焦った顔してておもしろかったし、何より千晶は毎日楽しそうにしてた」






慎先輩は焦って、丹田千晶は楽しそう?





「…光はさ、千晶が好き?」





「好きっすよ」



照れずに言えた一言





「…なら、なおさら慎を自由にしてあげて」




丹田千晶を、じゃなくて慎先輩を…?




頭を悩ませているとみんなが待つ別荘が見えて、何もなかったように帰る





まあ、後で考えよう




今からの時間は丹田千晶と一緒なんだ。




集中するしかないっしょ