「…ちょ、慎せんぱ…」




「はーい!二つ目の命令忘れんなよな~!」




こう遠目に見るといつでも俺らをまとめてくれていた慎先輩はまるで兄貴みたいで




そう言えば丹田千晶に恋する前は慎先輩を慕ってたな、と思いだした





「…二つ目は~二番と四番が花火を買いにいってくる!!!」






俺の手の中にある四番




すっと手を挙げた二番を持つ人は…




「私、だ」




分かってたよ、丹田千晶じゃないって。





ほんとこの人には全員分の数字が見えているんだろうか




「…よかったな、光」




数字だけじゃない。


きっと俺の気持ちも知っているであろう慎先輩は爽やかに笑ってそう言った。



「…そうっすね、慎先輩のおかげで花火できますし」




好きな人と花火とか夢だったんで、と付け加えると慎先輩はなぜか満足気に笑った




「その綺麗な顔が崩れるところが楽しみだな」




すっと5000円を俺に握らせた慎先輩は丹田千晶の元へと向かう




触んなよ、って言えたら楽なのにな




「いきましょっか、美沙先輩」




なにも言えない俺は逃げるように外へとでようとした