「…そーゆーこと」
ふふっと笑った美沙先輩は割り箸を中心へと差し出す
「赤い印がついた人が王さま。王さまは番号を指定して命令しろ。ただし、関係が崩れる可能性がある命令はやめろ。目的はあくまでも楽しく、だ。さぁ、せーのでひくぞ」
みんな頷き、割り箸をひとつ選んでつかむ。
…慎先輩にだけは王様になってほしくない
そう思いながら俺も割り箸をひとつ選んだ
「せーの!」
美沙先輩の掛け声で全員すっと割り箸を引いて手の中でそれを確認する
…俺は2番だった。
「王様だーれだっ!」
にやにやしながらそう言う翔太先輩
その声にすっと手を挙げたのは…
「王様は慎ちゃんでーす!!!!!」
嫌だと願った慎先輩だった。
「さあ!王様はご命令を!!!!」
ふざけだした丹田千晶が慎先輩に下手に出て話しかける
「俺の命令は…」
あぁ、慎先輩と目があった瞬間にさっと顔が青ざめるのがわかった
指先も冷たい
嫌な予感がする。
「…俺の命令は……。2番が4番に、キスをする」
「「はぁ~!?」」
俺の予想ははずれた。
4番だった翔太先輩とキスも嫌だけど…もっと丹田千晶に嫌われるようなものを想像していた
ほっとするような、目の前の翔太先輩を見てがっかりするような複雑な気持ちで慎先輩を見ると
「…夜はこれからだよ」
口が絶対にそう動いた

