………でも、俺だって男だっつーの。
たぶんあの格好は丹田千晶が望んだものじゃない。
俺が来る前に美沙先輩と菜々子先輩が何をしたかくらい大方察しがつく。
それに気付かない丹田千晶に腹を立てるべきか、首謀者に腹を立てるべきか。
「…くそ」
どうしたらいいか分からない気持ちだけがここに残っていた。
「やっほー!光!なんではいんねえの?」
そこにふざけた格好をした翔太先輩と暑くないのか心配になってしまう格好の慎先輩が来た。
丹田千晶を中に帰しといて正解だったよ
俺は汗を拭うと勢いよく立ち上がり腕を伸ばす。
「…光」
翔太先輩がインターホンを押しに向かったとき、慎先輩に呼び止められた
「千晶の格好…最高だろ?」
いつもの優しい笑顔で微笑む慎先輩の目はどこか異常にみえた
「もう一回千晶の肌を見て、肌に触れたら…その時はどうなるか分かるか?離れたなら、二度と千晶を見るな」
どこから見ていたんですか
どうしてそんなに丹田千晶に構うんですか
聞きたいことはあるのに、慎先輩の目が怖くてどうすることもできなかった。

