「…はぁ」
俺はため息をつきながらずるずるとドアに寄りかかって座った
なんでかって…その理由を思い出しただけで顔が熱くなるのがわかる。
俺はキャップで顔を隠すように深くかぶった。
目をつぶりできた真っ黒な世界に浮かぶ………丹田千晶。
その姿が水着だったなんて、だれにも言えない。
…正確には言いたくない。
あの日自分から終わりを告げてから丹田千晶を避け続けてきた。
会ってしまったら、たぶん暴走してしまうことを自分で分かっていたから。
丹田千晶の気持ちなんか置いといて、自分の気持ちを押し付けてしまう気がする。
それが嫌で関係を切ったのに、そんなことするなんて自分で許せなかった。
そんな状態の俺にとっては丹田千晶という存在だけでも刺激があるのに、それに加えて水着だなんて
「…くそ。なんであんな…」
なんであんな綺麗なんだよ
そう声にしかけてやめる。
あの日に逃げた俺が言える言葉じゃないから。