「千晶~!光は~?」



「…最近忙しいみたい」




藤宮光が会いに来なくなって数日がたった。



みんなに『別れた』と言えば済む話なのかもしれないけど、その一言が言えずにいる。




…よくよく考えれば付き合ってたのか定かじゃないし、私は藤宮光と離れることを受け入れきれてない




そんな状況でみんなに話すのは気が引けた




藤宮光も同じなのか分からないけど、あの日あったことは誰にも言ってないみたいだ





もし誰かに言ってるなら翔太と慎ちゃんの耳に入ってるはずだから…





「…千晶」




私と菜々子ちゃんにしか聞こえない声量で美沙ちゃんが私を呼んだ





「…翔ちゃん!慎ちゃん!私たちトイレに行ってきますね!」




美沙ちゃんと目配せした菜々子ちゃんが翔太と慎ちゃんに声をかけて、私は二人に引きずられるようにして屋上に連れてこられた




「…ど、どうしたの?」





どうしたの?なんて聞かなくても理由はわかってる。





「…千晶ちゃん、なにがあったの?」




「私たちに話せないようなことか?」



真剣な二人の顔を見たらもう誤魔化せない