スタートライン~私と先生と彼~【完結】


「数学のテスト頑張ったな」


俺は立ち上がり、探し出した言葉と共に、原田の頭にポンと手を置いた。


俺と目が合った原田は、恥ずかしそうにしていて、すぐに頭を下げて職員室から出ていってしまった。


俺はつい出てしまった手と原田が出て行ったドアを交互に見つめた。


しまった・・・つい触れてしまった。


セクハラと言われかねないから、女子生徒とふたりきりになったり、触れたりしないようにと忠告されていた・・・・・・のにもかかわらず・・・。


無意識のうちに出てしまった、まだ彼女の髪の感触が残る手をごまかすように、後ろ髪を触っていた。



なんだ・・・この気持ちは。恥ずかしそうに走り去る姿に、俺は胸が高鳴るのがわかった。



相手は高校生やぞ?まだ子供じゃないか!




俺は頭の中で、一生懸命彼女の姿を消そうとしていた。