H(県)での独立が決まって、出発の3日前…


「智和、オレのレベルとインパクト返せよ」


「あー、そーだったな…
現場に置いてっから、取ってくんわ」


「マジか、
じゃあオレも行くから、乗せてけよ」


他に忘れもんねーか、見ときてーし。


「あ、あとDIESELのスーツも返せよな」


「覚えてたのかよ…」

「つか、パクろーとしてただろ?」



電話のやり取りを終えて…
オレは、智和の車で現場に向かった。



「つーか…
寂しくなるな…」

珍しく、弱気な事を言う智和。


「…そーだな」

降り出した雨とともに、
オレまで感傷的になってくる。


「…ま、お前なら大丈夫だよ、
しっかりやれよ」

智和がそう言った瞬間、
土砂降りの雨に包まれた。


「マジかよ、めんどくせぇ」

照れ隠しのよーに、ブツクサ文句たれる
智和が、なんか微笑ましい。