「突然だけど私ね、もうあのバスに乗ることはないの。だから最後にあなたに会えて本当にうれしいわ」
「そっか……」
「足が悪くなかったら、よかったんだけど」
「……そうだ。俺、ずっと、おばあちゃんに教えてあげたいことがあったんだ」
「なあに?」
「バスの途中で止まる大きな公園。そこ、パワースポットなんだって。公園にある木の幹に触れたら、いいことがあるんだって。おばあちゃんもその幹に触れればパワーがもらえる。足も絶対に良くなる。そしたらまたバスで会おう、約束」
「そうね。約束。ありがとう。ありがとうね」