週の真ん中はバスが混雑することが多く、席を取られることも少なくない。

しかし今日はなぜか遅くても、優先席の前に立つことができた。

「あら、おはよう」

「おはようございます」

おばあちゃんからのおはようのあいさつでようやく一日が始まったという気になる。

このあいさつが聞けない日は何だか物足りない。

おばあちゃんが席に着いたことを確認し、俺はカバンから教科書を取り出し開いた。