「あれっ、吉永。珍しいな、バスで会うなんて」 車内に響いた大きな声に、私は窓を閉ざして顔を向ける。 「おう、おはよう」 違う制服を身につけた男子生徒。 おそらく同じ中学出身の男友達だろう。 「来週だっけ? また集まるらしいけど行く?」 「もちろん」 楽しそうに会話を弾ませる二人。 「ところでどうなった? 進展あった? ほら、吉永が好きになったって子」 「ちょっ、ばか。おまえ声大きい」