その中でも一つ、私にとって他とは違う、飛び抜けて特別なバス停。
 

《咲子台2丁目》。

 
バスが停車し、ぞろぞろと人が乗り込んでくる。

ひとり、ふたり、3人目。

いつも3番目に乗り込んでくるあの人。

制服を身につけ、肩にかけられたスクールバッグ。

何てことのないどこにでもいる高校生。

この人が私の好きな人。

もう1年以上も前にこのバスで見かけるようになってからずっと好きだった。

と言っても見ず知らずの相手じゃない。

名前も知っている。

向こうも私を知っている。