「離してくれる? その手。」
神田君がそう言うと男の人は、
「こいつが彼氏? 弱そーじゃん。」
離すどころか鼻で笑った。
すると神田君は、
「あ? 離せって言ったらおとなしく離せよ。」
そう言って男の人の腕をギリギリと掴む。
すると男の人は、
「痛ぇ! 悪かったから! 離す離す!」
そう言って逃げて行った。
「さて、細川さん、何か言いたいことはある?」
明らかに怒りモードの神田君。
「あ、ありません…!」
私がそう言うと神田君が手を私の方に伸ばして来た。
何されるんだろ…。
思わず目をつぶる。
すると神田君の手は私の後頭部にまわって、グイッと引き寄せられた。
そして気づけば神田君に抱きしめられていた。