恵斗君は神田君を妬かせるために協力してくれたんだから。
そんなことは絶対言えない。
言ってしまったら恵斗君の優しさが無駄になる。
すると神田君は立ち上がった。
「へえ、細川さんはそんなにあいつのこと好きなんだ?」
なんでこの時、気づかなかったんだろう。神田君の口調がいつもより冷たく、寂しそうだったことに。
「神田君だって瞳先輩がいるじゃん…」
私がそう言うと神田君は机を蹴った。
「否定しねぇのかよ。」
神田君はそうボソッと呟いたあと、
「あー、もういい。
細川さん、水野君の仲良くやってればいいじゃん。
俺も、お望み通り三山先輩と仲良くするから。」
と言った。
「へ…?」
「別れよっか。細川さん。」
神田君はそう言って教室を出て行った。