寒さに耐えられなくなってポッケに手を突っ込んでみる。


「あれ?なんか入ってる…」


空にかざしてみると、それは飴だった。

いつか直汰にもらった飴。


「あたし、これずっと、持ってたんだ」


自分の純粋さに笑う。

口の中に放り込むと
もう甘くもしゅわしゅわもしないソーダ味が口の中に広がった。



「直汰…」



そのままめをつむって、たくさんの日々を思い出す。

どの景色もすべて輝いて見えたあの頃。



「戻りたいよ…」



もう止まったはずの涙が一筋
頬をつたった。