《次は障害物競走です。選手は入場門へ集まってください》
(どうしよ…嫌になってきた…)
だんだんテンション低くなってきたあたしは、サッカーゴール近くでうずくまった。
心なしか、お腹痛くなってきたし…
(あー、もう、なんでこーゆーとこは変わらないかなぁ…)
一人でブツブツ言っていると
「笑佳?」
と直汰の声がした。
「うん…」
「どうした?具合悪い?」
「そーゆーわけでもないんだけど…」
「うーん…」
直汰は体育着のポケットに手を突っ込むと
何やらゴソゴソし始めた。
「?」
「…あった!はい、コレ」
そう言って手渡したのは
「あ、飴!」
あの時の飴だった。
この時に、もらった飴だったんだ。
「これで元気出して!応援してるから!」
あたしは、元気よく頷くと、立ち上がった。
まだ緊張はしてるけど
直汰に少し勇気をもらえた気がした。
「頑張ってくるから!」
結局その飴は、なんとなく、その時も食べなかった。
「位置について、よーい…ドン!」
結果あたしは、2位だった。
(あたし、あの時、3位じゃなかったっけ…?)
今思えばあの時から
あたしは
少しずつ気がついていたんだ…